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(内容)
四十路過ぎの商業的失敗漫画家のわしは
共同便所、風呂なしの家賃2万3000円の
四畳半ボロアパートで、友人、恋人、知人なしのひとり暮らし。
あれだけ徹夜自慢をしていた漫画家たちは消え、
服の端にスクリーントーンの欠片をはりつけている漫画家もいなくなり、
四十路過ぎの商業的失敗漫画家は当然のごとく
出版業界からあとかたもなくなった、まるで煙のように…。
この先、死臭という最悪な状態で、
大家か、隣人に発見されるかと思うと
自分で選んだ人生だが、悔やんでも悔やみきれない。
性格上、死んでしまえばという楽観的にもなれず、
そのような迷惑を掛けるような孤独死は、なんとか避けたいと
健康だけには気を使ってみたりするが、
これまた幼少の頃から運動嫌いで続かない。
たったひとつ夢中になれるのが、漫画を描くこと。
選ばれないことの過去の懺悔と未来の不安、ふたつ我に在り。
四十路過ぎの商業的失敗漫画家に仕事依頼なんぞ
来ることもなく…、生きるためにお金を稼がなくてはと、
昨年末からバイト生活の日々。
それなりの日常を送っているのだが、
それでも、休日になると、漫画を描いてみたくなる…。
「人生は創造だ」
誰からも掛かってこない携帯電話に、
(わしの記憶が正しければ)2年ぶりの電話。
いまはフリーターで活躍している元商業的失敗漫画家の知人からだ。
「いつまで都心にいるんだよ、商業的失敗漫画家が!、
地方に来い、家賃ゼロで、一軒家が手に入るぞ…」
とのこと。
…半信半疑、時間だけはたっぷりあるわしは、
都心から離れた不動産屋に足を運んだ。
そして、わしは3LDKの団地に住めることに……。